インテリアコーディネーター試験の合格率は、2023年試験で24.9%。
他の資格試験と比べても高い難易度です。
この難易度だと独学での合格は難しいですが、不可能というわけではありません。
ただ、独学で資格試験を目指す方が必ずといっていいほど勉強する「過去問」、実はその勉強法には落とし穴があるんです。
この記事では、資格試験の問題作成や本試験分析をしてきた経験から、試験問題を作る側の視点も踏まえた「独学でも失敗しない過去問勉強法」と「記憶力をアップさせる方法」を解説していきます。
- 医療系国家資格・公務員試験他の大手予備校にて10年以上、問題作成や本試験分析を経験
- 上記経験を踏まえ、インテリアコーディネーター試験に独学で一発合格
- 資格:インテリアコーディネーター、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、他
実はこの勉強法、インテリアコーディネーター試験だけではなく、他の資格試験でも同じことがいえます。
ですからこの記事を読んで、他の資格試験の勉強に活かすことも出来ますよ。
また、インテリアコーディネーター試験の概要については、この記事の最後で説明しています。
独学の落とし穴 ①「過去問集を繰り返し解くのは有効?」
いきなり本題から入ります。
資格試験の学習で必ずといっていいほど聞く方法に「過去問を繰り返し解く」というものがあります。
そしてもちろん独学する方も、過去問は必ずといっていいほどが勉強するはずです。
実はここに落とし穴の一つがあります。
過去問は本当に重要なんですか?
前に出題された問題を学習することに意味があるの?
結論をいうと、過去問は重要です!
でも「繰り返し解く」だけではだめなんです。
実際に資格試験予備校で働いていたときも、受講生から「過去問集を3回やった」「5回やった」などの声をよく聞きました。
過去問集といえばかなりの問題数です。1冊に納まり切らず、2冊以上あることも多いはず。
それらを3回も解くなんて、それだけでかなりの学習時間が必要ですね。
実はこの方法、すごく時間がかかる割には効率的ではなく、ただ繰り返し解いているだけでは十分ではないんです。
過去問を解くだけでは十分でない理由
では、それはなぜかというと、以下の理由があげられます。
- 全く同じ問題は、あまり出題されない
とくにインテリアコーディネーター試験ではこの傾向があります - 問題集を繰り返し解いていると
「問」に対する「答」ではなく、ただ「答」だけを覚えてしまいがち
なぜ、全く同じ問題が出題されないのか。
一番の理由は、過去問が公表されているためです。
しかし、全く同じ問題が出題されない代わりに、類題が多く出題されます。
そして類題が出題されると、ただ「答」だけを覚えている場合は、対応できなくなるんです。
類題が数多く出題される理由
なぜ類題が多く出題されるのかの理由はいくつかありますが、重要なことの一つとして、試験問題をつくる側の立場として、出題ミスがあってはならないということがあります。
実は、出題ミスを防ぐことは、けっこう難しいことなんです。
国家試験や大学入試問題だって、問題に間違いがみつかって、採点対象から外されることがあります。
ちゃんとした試験なら、偉い先生が問題を作って
確認もしてるはずじゃないんですか?
もちろん作成者以外に、何人かが内容を確認しますよ。
それでも出題ミスを無くすというのはとても難しいことですから、過去問が使われるのです。
そして、試験問題が公表されている場合は、全く同じということは少なく、かなり古い過去問を使ったり、過去問を流用して類題にします。
また、問題が公表されていない試験の場合は、過去問がそのまま出題されることも多いでしょう。
失敗しない 過去問勉強法
過去問の重要性はわかっていただけたと思うので、ここからは「類題」にも対応できる過去問の攻略法を解説します。
過去問(類題)の出題例
では、実際に出題された問題を見てみましょう。
問題 1人用ベッドのマットレスの幅は、寝返りを考慮して【 】のおよそ2.5倍を目安にするとよい。
1. 肩幅
2. 臀幅
3. 座高
この問題の正答は「1. 肩幅」ですが、
あなたは間違えたとします。
その後どうしますか?
解説を読んで理解して、正しい答を覚えます!
実はこれが、先ほど少し説明した「答だけを覚えてしまいがちという落とし穴」なんです。
解説を読んで理解をすることは良いことですが、最終的に正しい答を覚えるだけでは、十分ではありません。
その理由は何かというと
- 答だけを覚えてしまう、もっと悪い場合は、正答の場所を覚えてしまうこともある。
→もし選択肢の順番が変わったり、問題の文章が変わったら、答えられなくなる可能性があります。 - 類題が出題されるということは、空欄の場所が変わることもある。
→「肩幅」だけを覚えていても、空欄の場所が変わったら答えられなくなります。
この問題の類題として、実際に次の問題が出題されています。
問題 次の記述に対して、最も適当なものを選びなさい。
自然な寝返りの範囲を考慮した場合の布団やマットレスの幅の目安
1. 肩幅の1.3〜1.5倍
2. 肩幅の1.6〜1.8
3. 肩幅の2.0〜2.5
どうでしょうか。
この問題の正答は「肩幅の2.0〜2.5」です。
せっかく類題が出題されて、一度以上解いた問題だったとしても、「肩幅」だけを覚えていたのでは、正答出来ないことがわかりますね。
実は、このような例は珍しくなく、調べてみるとよくあるんです。
「類題」にも対応可能な過去問勉強法
では、このような「類題」に対応するにはどうしたらいいかというと、以下の方法が有効で、実際にこの方法を実践すれば、ほとんどの資格試験に合格することが出来ます。
- テキストなどに戻って、答えの前後や関連箇所、他に出題されそうな数値・言葉を確認する。
- 過去に出題された論点と、今後出題されそうな論点をテキストに書き込むか、ノートにまとめる(スマホやPCでもOK)。
→この作業をすることで「1問の過去問を解く」ことが「何問もの類題を解く」のに匹敵する学習効果になります。 - 別の年の過去問を解いたら、②のテキストかノートに同様に書き込む。
①〜③を繰り返し行えば、あなただけの無敵のノートが完成します!
独学の落とし穴 ②「問題集の重要マークに頼らない」
とくに独学している場合は、学習のスケジュールがうまく立てられない。
もしくは、学習スケジュールは立てたけれど、独学、つまり自分1人で学習しているとなおさら、その「学習スケジュールが達成出来なかった」ということが起こりがちです。
試験日が近づいて、まだ問題集が全部終わっていない。
あなたなら、どうしますか?
重要度が高い問題だけを選んで勉強します!
時間が足りなくなったら
「問題集の重要度が高い問題だけ学習する」
これは8割くらい正しいです。でも、ここにも落とし穴があります。
実は、よくある問題集や参考書では、重要度マークが「★★★」こんな風に表示されていますが、これに頼り過ぎてはだめなんです。
理由は「問題集を作っている人が良くない?」
いえ、そうではありません。
なぜかというと
- 大問全体の重要度になっていて、中の小さい問ごとに重要度が違ってくる。
- 過去問が出題された当時の重要度そのままになっていることがある。
- 試験範囲の広いインテリアコーディネーター試験などの場合、普通〜最重要をしっかり学習しないと確実に合格出来ない。
では、これについて解説していきます。
問題集の重要度は大問全体の重要度
インテリアコーディネーター試験でいうと、過去問の問題集は次のような形になっていることが多いです。
重要度★
椅子に関する次の記述の…
問1 事務用椅子には
問2 甲板の高さが、…
問3 「ひと」や「もの」と…
問4 椅子において、…
なるほど、小問1〜4がそれぞれ難易度が違うってことですか?
正解です!
つまり重要度が低いと思って飛ばしてた中に、重要な小問が含まれている可能性があるんです。
出題された当時の重要度になっている
資格試験の出題範囲は変わらなくても、時代とともに社会や状況が変わるということがよくあります。
例えば、蛍光灯や白熱電球、かつてはそれぞれの特徴など、よく出題されていましたが近年では出題が減っています。
なぜかといえば、LEDが普及してしまったからですね。
また、最近では環境に関する出題が多くなっています。
例えば「ZEH」「SDGs」これらは、5年前は全く出題されていませんでした。
ただ、過去問題集は問題数も多いので、全ての問題の重要度を毎年見直しているとは限りません。
これは問題集だけでなく、参考書にもいえることです。
普通〜最重要をしっかり学習しないと確実に合格出来ない
インテリアコーディネーター試験において、論点になりえる箇所
つまり、出題される可能性のある単語・数値などは、2,000近くあります。
この中で、過去5,6年間に3回以上出題された箇所、つまり最重要箇所は、どれくらいあると思いますか?
2,000もあるなら、そのうち100くらいですか?
不正解です。
実は、たった30くらいなんです!
30/2,000、めちゃくちゃ低い値です。
しかも、この30の最重要箇所でさえ、毎年ではなく、1年おきに出題されるくらいに過ぎません。
ですから試験に合格するには、重要箇所を確実に正解することに加えて、重要度が普通程度の箇所もちゃんと覚えて正解する必要があります。
独学で合格できるかの分かれ目、記憶力アップ法!
インテリアコーディネーター試験だけでなく、どの資格試験の学習においても「暗記」は重要な課題です。
とくに独学の場合は、何を覚えるべきかを自分で判断して、それらを確実に覚える必要があります。
それでは、その「記憶力アップの方法」も解説していきます。
効率的な学習時間
効果的な学習には、ある程度十分な時間を確保することが重要です。
短期的に多くの単語などを暗記する方法はありますが、それでは資格試験や受験勉強のような中長期の記憶には、あまり役に立ちません。
- 暗記が必要な場合は、短時間に大量の情報を覚えようとせず、中長期的な学習計画を立てることが重要。
- 効率的に記憶するためには、1日に1~2時間を予定し、週に5日間以上学習する。
学習ツール
ノートを使って書いて覚える方がいいのか、デジタルなツールを使った方がいいのか、これは意見が分かれるところでしょう。
必ずしも書いて覚えることがいいわけではなく、デジタルツールを活用することも有効です。
書籍やノート、ネットの資料など、様々なテキストや問題集を試し、自分に合ったツールを選ぶことが一番です。
例えば、単語帳は有効な暗記のツールですが、紙の単語帳だけでなくデジタルな単語帳アプリなども有効なツールになり得ます。
暗記法・記憶術
暗記には、いくつかの方法があります。ここではその代表的なものを紹介します。
ただし、人によって効果的な方法は異なることがあるので、自分に合った方法を選ぶことが重要です。
また、いくつかの方法を併用することで、より効果的な学習が可能になります。
スパシング効果
情報を少しずつ学習し、その情報を一定期間ごとに復習することで、長期的な記憶に定着させる方法です。
この方法を利用する場合、単語帳(カードまたはアプリ)などを使うと効果的です。
関連付け法
覚えたい情報を、既に知っている情報と関連付けることで、記憶の定着を助ける方法です。
例えば、英単語を覚える場合には、その単語をイメージし、その単語が似た音やスペルを持つ別の単語と関連付けることが有効です。
語呂合わせで、覚えにくい言葉や数値などを暗記する方法もよく使われています。
意味の理解
暗記するだけでなく、情報の意味を理解することで、記憶の定着を助ける方法です。
例えば、数学の公式を覚える場合には、その公式が何を表しているのか、どういう場合に使うのかといった意味を理解することが有効です。
まとめ「合格への近道」
インテリアコーディネーター試験だけでなく、「資格試験に独学で合格する方法」分かっていただけましたでしょうか。
この方法をちゃんと実践すれば、独学でだいたいどんな資格試験でも合格できます。
ただ、この方法を実践して、独学で合格するには、それなりの時間と努力と根気が必要です。
仕事をしながら、または在学中の方の場合は、なかなか時間もとりづらい。
では、そんな時にはどうすればいいか。
これには、以下の2つの方法が有効です。
- 例えば、通勤・通学時間、昼休みのちょっとした隙間時間を活用し学習時間にあてる
実はこれ、けっこう有効です。- 家にいるときよりも、いろいろな誘惑が少ないため集中できる。
- 隙間時間とはいえ、トータルすれば多くの時間をあてることができる。
- 毎日1〜2時間の学習を平日(週5日)続けることは、記憶力アップにつながる。
- そして、さらに近道になるのが、合格へ導いてくれる講座を受講する。
これは、先ほど説明した「出題される可能性のある2,000箇所」のうち、どこを絶対覚えるべきか、どこを覚えなくていいのか、そして覚えるための方法も用意してくれるはずです。
ただ、いずれの方法をとるにしても、まずは始めないことには、何も変わりません。
- スマホやPCで隙間時間に学習出来る
- 5年分以上の過去問から、覚えて欲しい論点に特化した演習問題800問超!(さらに増量中)
- 何度も解けて、解くたびに問題順がランダムに入れ替わるから「解答の順番を覚えてしまった」ということがありません
- 動画やテキストでは、重要度と学習しやすさを解説してるから、重要度に合わせて学習が進められる
- 重要なワードや覚えにくい数値などをPickUpしている単語帳があるから、暗記しやすく、確実に覚えているかの確認に最適!
【単語帳の種類 】
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2次試験対策(動画・WEBテキスト・練習課題)に加えて、図面・論文の添削課題も利用可能なコースです!
BASICコースは、「総合コース」から2次添削課題を除いたコースです。
まずはBASICコースで受講した後、添削課題のみ追加することも出来ます。
インテリアコーディネーター試験の概要
インテリアコーディネーター資格試験の一次試験概要です。
- 受験方式:CBT方式
- 問題数・時間:120分・36問
※2023年の試験より受験方式・試験時間・問題数が変更されました - 合格率:2023年試験24.9%
↓2023年の変更点や試験の出題範囲・攻略法は次の記事で詳しく解説しています。
↓二次試験については、以下の記事で詳しく解説しています。
[「記憶法・記憶術」の参考文献]
- Roediger, H. L., & Butler, A. C. (2011). The critical role of retrieval practice in long-term retention. Trends in cognitive sciences, 15(1), 20-27.
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students’ learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological science in the public interest, 14(1), 4-58.
- Karpicke, J. D., & Roediger III, H. L. (2008). The critical importance of retrieval for learning. Science, 319(5865), 966-968.